
前回W113のA/Tミッションは流体クラッチがカップリングタイプで、A/Tミッションとしては初期のタイプだとお話しました。僕達はこのタイプのミッションを通称「Eタイプミッション」と呼んでいます。
Eタイプミッションが搭載されているのはもちろんW113だけではなく、他の車種にも搭載されています。
次世代トルクコンバーターのタイプに変更になってくるのは1969前後で年式だけではどちらが採用されているかはわかりません。
見分け方は下からミッションを覗いてみるしかありません。
Eタイプミッションは「オイルパンの取り付けボルトがいっぱい」で、トルコンタイプのオイルパンは「ボルト4本」で取り付けられています。
ちょっと別の観点から、一部車種で判断できます。
1969年から3,500ccのV8エンジンが搭載されてきましたが、これにはトルコンが採用されています。
V8エンジンでも1964年からの600や1968年からの300SEL-6.3はEタイプミッションになります。
さて、ミッションのオーバーホールの話題に戻りたいと思います。

雑然と置かれているミッション内部の部品達。
一体何台分のミッション?!
以前にもお話したことがありますが、WERKEでミッションのオーバーホールは滅多にしません。
それにはこんな理由があるんです。
もちろん僕も何度もオーバーホールしていますが、やはり時間がかかってしまうことや、すべての車種の改良点などを把握するなんて普通の整備士としてはほぼ不可能なことと認識しています。
そこで上の写真の主であり、僕の親友でもある生天目氏にミッション関係はすべて任せていいます。

ヤナセに僕と同期で入社した彼はユニット課というミッションやステアリングギヤボックス、エンジンなど車から取外された状態のユニット単位でのオーバーホールを専門で行う部署に配属されました。
もちろん全ヤナセの中でそこだけの特別な部署です。
そこで働く面々は皆エキスパートばかり。
1年中、毎日ミッションだけをオーバーホールし続けるという徹底ぶりですから、症状を聞いただけでどこのバルブが固着してると言い当てるのは当たり前。
そんな感動的な職人の集まる部署で27年もの長い間勤め続けた彼が、やっと独立することになり僕の仕事を請けてくれるようになったんです!!
今の段階ではメルセデスのミッション修理ではおそらく日本一の技術を持っていると思います。
一般的に行われている分解して組み付けるという方法とはまったく違います。
消耗品を交換するのは当たり前で、当時メーカーから次々と送られてくるその車種に応じた対策も含めた作業をしますから、ある意味新品以上のものに仕上がります。
その分少しお値段的に割高だと感じるかもしれません。
お聞きしたところ部品代だけにも満たない金額でオーバーホールするところもあるようです。
あとは客様の判断にお任せしましょう。
というわけでWERKEのリビルトミッションは日本一ということになります(笑
今回のオーバーホールはすごいものでした。
このEタイプミッションは部品が全部揃わなくなってきています。
その為でしょうか使われていた部品がほとんど違っていました。

それとあまり発見されずに見逃されてしまう部分でカップリングの付け根付近に亀裂が入っていました。

というわけで今回はカップリングも再生しています。
次にこのミッションで重要なのが取り付け後のオイルプレッシャー調整です。

写真のようにモジュレータープレッシャーを調整します。

このモジュレータープレッシャーが基本になり、変速ショックやシフトタイミングに至るまで影響してきますから、きちっと調整することが大切です。
調整はスロットルスイッチにまで及びます。
エンジン回転数で判断する部分と下の写真のように、電気的にソレノイドバルブを動かしてプレッシャーを調整します。

このミッションは面倒ですがここまでの調整が必要です。
あなたのミッションは調子いいですか^o^